あったかブログ

2017/08/28 更新

神戸市長選の争点(3) 選挙公約「子ども医療費ゼロ」を放棄―住宅福祉の後退

安倍〝自民党政治〟の持ち込み許すのか、「自治体らしい自治体」を取り戻すのか

(三)選挙公約「子ども医療費ゼロ」を放棄―住民福祉の後退

 神戸市政のゆがみの二つ目は、「住民福祉の後退」です。 
 久元市長は、四年前の神戸市長選挙で、中学卒業まで「子どもの医療費を速やかにゼロにします」を公約に掲げました。それは、全国的に医療費無料が広がるなかで多くの市民の願いでもあり、市長選では主要な候補者の共通の公約でした。久元市長も公約発表時に「近隣自治体に比べ水準が劣るのは見過ごせない」としていました。 
 市長選から四年間、兵庫県下でも無料化に踏み出す自治体が増え四十一市町のうち三十五市町が無料化しました。しかし久元市長は四年の間、一度も無料化の提案をせず、今年度の予算編成で「将来の財政負担を考えると一部負担が必要だ」と無料化実現を放棄しました。市民からは「ウソつき市長はゆるせない」と批判の声があがっており、「神戸新聞」も五月二十五日の一面で「市民に約束する『公約』。守るべきではないのか」と厳しく指摘しました。 
こうした久元市長の方針転換の背景にも安倍「自民党政治」への追随があります。 
 全国の医療費無料化の流れが国政に影響することを恐れた安倍内閣は、二〇一五年六月に骨太方針二〇一五で「地方単独事業について、過度な給付拡大競争を抑制していくための制度改革を進める」との目標を掲げ、巻き返しを図ります。 
安倍内閣の巻き返しの地方での担い手として真っ先に手を挙げたのが久元市長でした。久元市長がまとめ役になって二〇一五年十二月に政令市指定都市市長会が「地方創生に向けた東京一極集中及び人口減少に対する提言」を発表。子どもの医療費の助成について「限られた財源の中で持続可能な制度とするため、利用者の自己負担を求めることにより、適正な利用を担保すべきである」との意見をまとめあげ政府に提出しました。 
 久元市長は公約を放棄するにとどまらず、安倍内閣の社会保障抑制策の忠実な推進者としての役割を自ら買って出ています。医療費だけにとどまりません。待機児童の完全解消を掲げた公約も、子どもがいずれ減るという理由で、須磨〜西区の保育所建設推進を抑制し、待機児童は就任以来増え続けています。さらに、小学校給食費の値上げと調理の民営化を強行しました。高齢者福祉でも、敬老パスの有料化や福祉パスの低所得者からの取り上げ、さらには半世紀にわたって行ってきた高齢者の長寿を祝う敬老祝い金の支給を廃止しました。 
 こうした度重なる福祉の切り捨ての結果、一般会計決算は毎年黒字を計上。黒字のため込みも百二十九億円と震災前のレベルまでに達しています。しかし久元市長は、市民への還元ではなく、大型開発へ優先的に予算を投入しようとしています。日本共産党神戸市議団が毎年の予算で提案しているように、一般会計予算のわずか二〜三%程度を組み替えれば、子どもの医療費の無料化や、国保一万円、介護保険五千円の引き下げ、住宅・店舗リフォーム助成など市民の所得アップと地域振興に役立つ施策はすぐにでも実現できます。 
 今の久元市政にないのは「財源」ではなく「福祉の心」ではないでしょうか。