あったかブログ

2016/04/10 更新

神戸・市民要求を実現する会が神戸市と交渉(あったか連載)

神戸・市民要求を実現する会神戸市との交渉

 

神戸・市民要求を実現する会事務局長 岡崎史典

神戸・市民要求を実現する会(市民要求の会)は、市民生活のさまざまな要求を集め、神戸市からの文書による回答を受けました。ことし二月、さらなる回答を求め、九項目で面談による交渉をおこないました。のべ四十名以上の市民が参加しました。

九項目は、①中学卒業までの医療費の無料化②待機児童ゼロ、認可保育所の増設③中学校給食の自校調理方式での実施④公立幼稚園九園の廃止計画の撤回⑤中小企業振興基本計画の策定、小規模企業の支援体制の構築⑥市内就労者の正社員化の促進、過労死につながる長時間労働、ブラック企業対策の促進⑦三宮周辺の再整備を撤回し、市民や住民の意見をとりいれた活性化策に見直す⑧神戸空港の運営権売却による債務切り離しをおこなわず、廃港を含め市民の意見を聞く⑨集団的自衛権行使、憲法九条改悪に反対し、非核「神戸方式」を守り広げる平和行政をすすめること、です。

中学卒業までの医療費無料化は、多くの自治体で実施済であり、市長公約の無料化実施はいつおこなわれるのかの質問に、担当者は「市長公約を市長と話し合ったことはない」「新年度予算では、現在の五百円を、四百円に負担軽減する」とのべるなど、周辺自治体との差についての認識の低さがうかがわれました。

待機児童、認定保育園の増設では、三歳児受け入れの問題が解決できていない現状や、保育園受け入れの第一次選考で千二百名もの保留者が出ている現状を示し、神戸市の保育行政は、あまりにも冷たいと指摘しました。

公立幼稚園の廃園計画は、子育て世帯の絆を断ち切り、地域コミュニティーも破壊すると指摘し、廃園計画の撤回を訴えました。神戸市は公立幼稚園の役割の一つとして「幼児期における特別支援教育の充実」を文書回答していますが、参加者は、廃園計画が特別支援教育の機会を奪うものにつながると指摘しました。

異物混入で、一部中止においこまれた中学校給食は、混入原因の解明もおこなわれず、「検証委員会」での議論も、デリバリー制度の枠をでないと指摘。根本的な問題の解決は、自校調理方式で、緊急対策としての小学校との親子方式での早期実施が可能な中学校の一覧を示すように要望し、回答を求めました。

子ども・子育て問題の交渉は、子育て世代のお母さんが参加し、生の声、切実な訴えを担当者に届けることができ、問題の早期解決を求めることができたのではないかと思います。午前中の子ども子育て問題に引き続き、午後からは、産業、労働、平和の問題について交渉しました。

中小企業問題では、神戸市内経済で中小企業の果たす役割の重要性と震災を乗り越えてきた現状を説明し、神戸経済の中での位置づけを明確にするためにも「中小企業振興基本計画」を策定すべきだと示しました。

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働くものの問題では、市内就労者の非正規率は四〇%に達し、二〇一二年に比べ一ポイント増加していること、兵庫労連が実施している自治体アンケートで神戸市職員でも非正規率が増加していることを指摘しました。

また、神戸市が委託している電話での労働相談について、夜間の時間帯の必要性を訴えました。過労死については十一月の啓発月間だけではなく通年で取り組み、神戸市が率先して働くものの環境改善に取り組むように要望しました。

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三宮再整備については、現在は将来ビジョンとしての段階であり具体的な構想については示せるものはないが、JR三ノ宮駅の東側に新たに中・長距離のバスターミナルを集約する施設を考えていると担当者から説明がありました。参加者からは神戸市は一方的な再開発を押し付けることなく周辺住民や利用者意見を聞くことが重要だと指摘し、神戸市の担当者も意見を無視して進めることはないと述べました、また、駅北側の二宮商店街の現状を示し大型開発の問題点を指摘しました。

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非核「神戸方式」の問題は、集団的自衛権に係る問題で「国には国の、地方には地方の役割がある」との文書回答がありましたが、戦争法発動中にアメリカ艦船が寄港を求め、非核証明書を示さなかった場合、市は入港の否を国に求めるのか―との質問に対して担当者は明確な回答は示せず、個別的な事項についての検討は行われていない現状を示しました。

産業・雇用の問題については市民目線での検討は行われていない現状が見て取れました。

平和と非核「神戸方式」の問題については、戦争法が国政問題であると同時に、神戸市の平和の問題だと広く市民に訴え、アメリカ艦船の入港については明確に拒否することが必要だと感じました。

開港十周年を迎える神戸空港については担当部局が出席しなかったことに残念であると伝え、具体的交渉は行いませんでしたが、三月十六日付の地方新聞に四ページもの広告を出す経費の使い方についての問題提起をしました。

久元市政は、表面上は市民の暮らしを考えているように見えますが、トップダウンで行う事業の多くは住民無視で行われることが多く、特に子育ての問題は周辺自治体と比べても大きく遅れています。

神戸・市民要求を実現する会では今後も、市民の要求を取りまとめ、横断的な活動を続け、神戸市と交渉していきます。

(2016年4月10日付「兵庫民報」掲載)