あったかブログ

2017/02/20 更新

神戸電鉄粟生線の再生へ自治体が役割発揮を

神戸電鉄粟生線は二〇一〇年に神戸電鉄が「毎年十億円以上の赤字が続き、一民間企業ではこの危機を乗り切れない」と〝廃線〟の危機を訴え、自治体や神戸電鉄、住民代表、学識経験者で「神戸電鉄粟生線活性化協議会」をつくり、再生に取り組んできました。粟生線はピーク時の乗車人員千四百二十万人(一九九二年)が二〇一五年には六百四十六万人と半分以下に減少し、存続の危機が言われています。

粟生線の危機はいまどんな状況か

活性化協議会が決めた乗車人員目標七百万人に対し「減少幅が小さくなった」と評価していますが減少が続いています。
北区と西区の「粟生線の会」は十一月に神戸電鉄と懇談、その中で分かったことは――
①粟生線だけでなく、神鉄の屋台骨でもあり粟生線などの「赤字」を埋めている有馬線が沿線高齢化などで通勤客などが減少しており、神戸電鉄全体で毎年の売り上げが一億円ずつ減少している。
②粟生線のさらなるダイヤ削減、サービス削減を計画している。(十二月に三月ダイヤ変更で朝夕のスピードアップと、西鈴蘭台・志染間を一時間四本を二本に半減すると発表)。志染駅と粟生駅間は各駅の改札機をなくし志染駅でいったん乗り換え、車内の収受機で扱う北条鉄道なみのサービスにする。
③こんごさらに粟生線だけでなく、三田線など他の線でも対策を強める。
―これらのことが明らかになりました。
一方、十二月開催された粟生線活性化協議会では、ダイヤ削減などは問題にされず、兵庫県が神戸電鉄連結決算の黒字などを理由に「四十億円五年間無利子貸付スキームの終了」を提起、また、小野市が八月以降欠席しており、その理由が神戸電鉄提出の現在の乗車人員数と「ビッグデーター」が食い違っていて、神鉄側が納得いく説明をしないということでしたが、去年一年でも活性化協議会の運営が混乱することが連続していました。

粟生線へ支援強化し、活性化協議会で県が主導的な役割を

私たち「粟生線の会」はこれらの問題で、兵庫県に粟生線支援の強化、活性化協議会で県が主導的役割を発揮することを要請する申し入れを行いました(前号参照)。
申し入れでは、▽神鉄が黒字とはいえ粟生線の赤字は依然として十億円近くある状態が続いており、粟生線の危機は進行している▽活性化協議会が役割を発揮しきれていない原因は、運営の中心になっている神戸、三木、小野の三市が横並びで、意見の違いが出てくるとどの市も主導することができず前に進めなくなっている――と指摘し、和歌山でも福井でも地方鉄道の危機の際には県が役割を発揮している経験も参考に、兵庫県が事務局を主導するなどその役割を発揮することは粟生線の問題に対処するのに欠かせないと要請しました。
応対した兵庫県の担当者は「粟生線の現状は楽観している」「協議会とは密に連携している」「神鉄のダイヤ改訂は話し合っていて、朝夕のラッシュ時の速達性向上と昼間の時間帯の本数削減ということでマイナスでない」などの回答で、私たちの受け止めとは距離を感じました。

地方鉄道の危機は、北海道や四国、九州などで深刻になっています。
粟生線沿線も危機が続いていますが効果的な対応が感じられません。活性化協議会とは別に「戦略会議」を北播の首長、神戸市、県、神鉄などで行い、「上下分離」などの経営問題を話し合っているようですが、その中味は全く聞けません。
神戸電鉄も、このままのやり方で粟生線を運行することは難しい、粟生線ばかりに注ぎ込むことは他の線の利用者の理解を得られないなどと言っています。
この地域に欠かせない粟生線は、いま、大きな曲がり角にさしかかっていますが、活性化協議会は機能を果たしきれていないように見えます。
困難を突破して前進するために、なんとしても兵庫県が役割を発揮してもらいたいと願っています。