【公開質問状】全教神戸市教職員組合に回答しました。
全教神戸市教職員組合から寄せられた公開質問状に回答しました。
回答の大要を紹介します。
1.教職員の未配置を解消するために、神戸市として独自にどのような対策を具体的に講じますか。
回答:神戸市は「先読み加配」や新規採用の増員などをすすめていますが、まったく不十分です。神戸市独自に定数改善をおこない、抜本的に教員増がおこなえるように予算を計上し、手立てを講じるべきだと考えます。
2.国の責任による35人学級を中学校・高等学校の全学年への拡大、次期公立義務教育諸学校教職員定数改善計画の早期策定、義務標準法及び高校標準法改正による学級編成基準の引下げ、小中学校全学年での30人学級の実施、また特別支援学級の6人学級を文科省に要望すること及び当面、神戸市独自の予算で実施することが必要だと思いますが、その点についてどのようにお考えですか。
回答:教員の長時間労働、多忙化の解消のためには、国の責任で35人学級を中学、高校まで拡大し、小中学校でさらに30人学級を実施させることが必要です。そのために、「1日4コマ」の原則で抜本的な定数改善計画をつくり、義務教育標準法、高校標準法を改定すべきであると考えます。
また特別支援学級に在籍する子どもたちの障害の複雑化に対応するために、学級編制基準を現在の8人から6人に改善することも必要です。あわせて学級編制を通常の小中学校の複式学級のように2学年以内で行い、子どもの実情に応じた教員配置が行えるようにするべきです。
上記の措置を国がただちにとらなくても、三宮再開発などの予算を削減し、神戸市独自に中学校の35人学級など定数改善をおこない、少人数学級の促進など教員増をすすめます。
3.「教育のICT化」について
①オンライン教育が子どもと教育に与える負の影響についてどのようにお考えでしょうか。
回答:多くの専門家がICTによる近視やネット依存症などの健康被害を指摘しています。ICTの使用によって深く考えるということがかえって阻害されることを指摘する研究者も少なくありません。こうした状況を鑑み、ICTが子どもの健康や発達に及ぼす影響の研究と対策を重視すべきと考えます。
②ICT機器利用を推進したことによって学力が低下したと判断し、デジタルから紙へと回帰している海外の事例(フィンランド等)についてどのようにお考えでしょうか。
回答:デジタル教科書は、思考力を阻害したり、健康被害の危険がある懸念もあり、問いのようなケースも生まれています。視力障害のある子どもに見やすいなどの点もありますが、フィンランド等の事例などもふまえ、全体的な導入には、多くの関係者による慎重な検討が必要であると考えます。
③アメリカには授業のICT化を進めることで、学校教育を投資承認にしているチャータースクールがあります。学校教育を民営化することについてどのようにお考えでしょうか?
回答:アメリカで急成長を遂げているとされている「ロケット・エデュケーション」というチャータースクールは、コールセンターのような教室をつくり、個別に仕切った空間でヘッドホンをつけ、コンピューターを操作し、問題を解き、テスト対策を行うような作業がなされています。こうなれば、もはや先生はいらず、ロケットシップエデュケーションは、正規教員を減らし非正規教員に最大130人の生徒を監視させることで、経費を節約して経営者の利益を増やしています。過度な利益を追求する民営中心の学校を導入することは、子どもの健全な発達などにも影響を及ぼしかねないことから慎重であるべきで、教育環境には、公が責任を負うべきと考えます。